急性期脳梗塞の治療は何を行うのか
急性期脳梗塞の治療は、いかに早く治療をするのかが重要です。超急性期である発症後から3~6時間は、特に早い対応をしなければいけません。
急性期の治療では、薬物療法が行われます。血栓を溶かす薬、脳を守る薬、脳のむくみをとる薬、血液の凝固を抑える薬など脳梗塞の病型に合わせて使用されます。
発症直後の急性期には、血圧、呼吸、体温などをチェックしながら全身の管理をし、合併症がおきないように、注意しながら治療が進められます。
薬物療法
薬を使って血栓を溶かし、血流を回復させる方法を血栓溶解療法と言います。血栓溶解療法に用いられる薬はt‐PAとウロキナーゼの2種類あります。血栓溶解療法は発症後から3~6時間に行われます。その後は活性酸素の働きを抑え、脳の障害を防ぐ脳保護療法や行われます。
発症3時間以内
t‐PA静脈療法という治療法があり、t‐PAには強力に血栓を溶かす作用がありますので、注射と点滴で投与されます。発症3時間以内であればうまく症状を改善する事も可能です。しかし、それ以降になると出血しやすくなる可能性も高まりますので、この治療が可能かどうか、専門医により判定されます。
6時間以内
ウロキナーゼという薬を脳血管にカテーテルを梗塞部の手前まで送り込み、投与をします。脳の血流が35%未満の場合、脳出血などの副作用を起こす場合があります。血栓溶解療法は、心原性脳血栓にとても有効です。
24時間以内
梗塞部周囲の活性酸素の働きを抑えて、脳細胞の障害の進行を防ぐために脳保護療法が行われます。
48時間〜数週間
抗血栓療法(ラクナ梗塞、アテローム血栓性梗塞)、抗凝固療法(心原性脳塞栓症、アテローム血栓性梗塞)、抗脳浮腫療法(心原性脳塞栓症、アテローム血栓性梗塞)などが行われます。
合併症
良く見られる合併症として、消化管出血(食道から直腸までに起きる出血)、深部静脈血栓症(下肢の腫脹を引き起こす疾患)、肺炎(細菌やウイルスが肺に感染して炎症を起こす病気)、尿路感染(尿路に細菌などが感染して起こる病気)、褥瘡(床ずれ)や関節の拘縮の他、心血管系合併症(心臓や血管など循環器の病気)などがあります。